祖母傾完全縦走(大分県)
【二日目】
〜祖母山−障子岳−古祖母山−尾平越−本谷山−笠松手前〜

【山行日】 2004年5月2日  天気:曇り後、雨
【コース&タイム】 九合目小屋(6:00)〜祖母山(6:15-23)〜裏谷鼻展望台(7:05-14)〜黒金山尾根分岐(7:30-36) 〜天狗岩往復(7:41-48)〜ミヤマ公園(7:52)〜障子岳(8:20-38)〜土呂久分岐(8:52)〜 古祖母山(9:32-45)〜尾平越(11:15-23)〜ブナの広場(11:50-12:38)〜本谷山(14:23-35) 〜水場(14:41-46)〜トクビ展望台(15:23)〜笠松手前テンバ(15:45) 【行動時間】9時間45分
【主なピーク】祖母山(1756m)、障子岳(1703m)、古祖母山(1633m)、本谷山(1642m)
【地図】「小原」「祖母山」「見立」2.5万分の一 【メンバー】T(A,B,N)

 九合目小屋から祖母山〜障子岳へ

祖母九合目小屋にて。本日のメンバー。
AM4:30頃、ガサゴソと出発の準備をする音で目覚める。約20人ほどの団体が入り口を出たり入ったりしている。 どうやら今日は九折小屋まで行くらしい。ということは、今夜の九折小屋は既に満杯なるに違いない。 今夜は確実に雨だし、今夜の九折小屋の状況がどんなであるか見てみたいものだとBさんと話をする。
小屋の外へ出てみるとまだ雨は降ってきていないが、曇よりとした天気である。小屋の前から、昨日越えてきた前障子岩、大障子岩の障子岩尾根がはっきりと見える。 また、その右手には明日、最後に越える傾山のピークも見える。
これからは水場が問題である。とりあえず2Lを持ち、出発。

九合目小屋から「前障子岩から大障子岩」尾根を眺める。この時はまだ見えていた(6:00前)

祖母山山頂にて。【6:15】
6:00、九合目小屋を出発。6:15、祖母山頂へ到達。
先ほどまで障子尾根が見えていたが、雲がかかり始め、大障子岩は見えない。これから行く、尾平越、本谷山、そして傾山方面はまだ見える。 北には九重連山はきれいに見えていた。
雨はまだ落ちてこないが、振り出すのは時間の問題である。早々に出発する。

荷物が重いので祖母山直下の岩場を慎重に通過し、縦走路に向かう。

あっという間に障子尾根が雲に隠れる。

九重連山が綺麗に見える。右に傾山。

祖母山頂直下の岩場トラバース

岩場のハシゴ

縦走路を行く。ガスがかかってきた。
途中、裏谷展望台へ寄り、絶景を眺めた後、再び縦走路へ戻ると、あたりにガスがかかり始め視界が悪くなってきた。天気は急速に悪くなってきている。
ここから天狗分かれの黒金山尾根分岐まで緩やかに下りながらアップダウンを繰り返す。 途中、縦走路の脇には上を見るとピンクのアケボノツツジ、下にはショウジョウバカマが彩りを添えていた。

7:30、黒金山尾根分岐へ到着。ここには、綺麗なアケボノツツジの木が一本ある。

黒金山尾根分岐にて。アケボノが綺麗。

ショウジョウバカマ

ガスの中、ミヤマ公園付近を行く。
黒金山尾根分岐からは障子岳へ向かっての登りとなる。あたりは真っ白になり何も見えない。 途中、天狗岩への分岐があったが誰も見向きもしない。「天狗岩に行ってみんね。」と言うと、「先に行っとくけん、行っといで!」という連れない返事が返ってきた。 仕方がないので一人でピストンするが、案の定、真っ白で何も見えなかったので、そそくさと引き返し、皆の後を追う。
烏帽子岩もなにも何も見えない。ガスの中をひたすら登ると障子岳へ飛び出る。(8:20)

障子岳山頂にて。【8:20】
障子岳はガスの中で何も見えない。ガス状の霧雨が降ってくる。もうしばらくすると本格的な雨になりそうだ。 行動食をほおばりながら周りを眺めるが真っ白で何も見えない。

Nさんはここで携帯電話に忙しい。天気が良くないので、明日に合流予定のS鹿さんと連絡をとっている。 どうやら合流はあきらめたようだ。 また、熊本のJさんより、今後の天気予報を知らせるメールも入る。山仲間からの情報は助かる。この後も天気は期待できそうもない。
霧の中、そのまま出発する。
 障子岳から古祖母山を越え尾平越へ

古祖母へ向かう。土呂久分岐にて。
障子岳を下ると、縦走路はスズタケの道となる。小屋番さんの整備のおかげで、登山道の両側は綺麗にスズタケが刈られている。スズタケ刈りも大変な作業であるだろう。
土呂久分岐を過ぎ、古祖母山へ向かってスズタケの中を緩やかにひたすた登っていく。途中、開けたところもあるが、ほとんどがスズタケの道である。
展望もあまりない道を我慢して進むと古祖母山頂へ出る。

スズタケが綺麗に刈られた縦走路。

広々とした気持ちいい道もある。

古祖母山山頂にて。【9:32】
古祖母山頂は南側の宮崎側高千穂方面が開けているが、今回は何も見えない。山頂より少し北側にある露岩からは祖母山から障子岳方面の展望が優れるところがあるが、今は何も見えないだろう。
山頂には子供連れの10人くらいのパーティーで賑やかであった。

古祖母山から尾平越まではひたすらの下りである。古祖母山頂下の大岩の岩場にはしっかりした梯子が設置されていた。 昨年(03年)9月にはなかったので、この半年の間に設置されたのであろう。梯子のおかげで随分通過しやすくなっている。

古祖母山下の岩場

新緑とアケボノツツジが美しい!

新緑とアケボノツツジの縦走路を行く。
岩場を下ったあたりから、ブナの新緑とピンクのアケボノツツジが美しい雰囲気のいい登山道となる。 このあたりはアケボノツツジが多い。今年は花が今ひとつであるが、昨日からの縦走コースでここが一番美しいようだ。このあたりから、ちらほら逆側からの登山者とすれ違うようになった。 ガイド本などでお馴染みの写真家のU田さんにここでお会いした。

しばらく行くと展望所があった。障子岩尾根から祖母山への尾根が見渡せる絶好の場所だ。ちょうどガスが晴れてきており、運よく山々を見ることができた。ここで休憩していると、尾平越から登ってきた大分の友人のK内さんに会った。 九合目小屋まで行くらしい。

時折ガスが晴れ、祖母山頂が顔を出す。

大障子、前障子の岩尾根が見える。

新緑が気持ちいい縦走路をいく。
ここへきて、霧雨が少し大きくなってきたが、ザックカバーのみ装着し出発する。 再び縦走路を下る。天気は良くないが新緑の緑が綺麗な雰囲気のいい縦走路だ。 新緑が綺麗な樹林の中で色とりどりのザックを背負った高校生のパーティーに出会った。 横を通る時、一瞬、一人の女の子と目があい、目を疑った。 「あれ?昨日、馬の背あたりですれ違いましたよね?」と私。「はい!」と女の子。 「どうしてここにいるの?」と私。「尾平越から登ってきました。」と女の子。「そうですか。じゃ、気をつけて。」と私。 それ以上はお話しなかったが、推測するに、昨日は黒金山尾根を登り祖母山経由で宮原から尾平へ下り、今日は尾平越から障子岳、黒金山尾根を下るのではないかと。 統率のとれたしっかりしたワンゲル部であったのが印象的だ。
 尾平越から本谷山を越え、笠松手前へ

【11:15】尾平越に到着。
馬酔木が多い斜面を下ると尾平越は近い。
11:15、尾平越に到着する。広々としておりテントはかなり張れる。また、水場も尾平トンネル側へ少し下ったところにある。

ここで、昨日から同行してくれたAさんと別れる。Aさんはここから尾平駐車場へ下る。考えてみると、車のデポが尾平トンネルであったなら、かなり楽であっただろうが、もう仕方がない。
別れ際に記念撮影をする。Aさん、ここまでお疲れさまでした!

ここから別れて尾平へ下るAさん。

ここからは、「キテレツ三人組」となった。

尾平越から再び縦走路を行く。
Aさんと別れ、三人で再び縦走路を行く。最初の登りで右手方向への踏み跡に入り込み、道を失うが、すぐに軌道修正。 樹林帯の新緑が綺麗な雰囲気のいい縦走路を再び歩いていく。
ここからは、ブナ広場を経て本谷山までダラダラとしたひたすらの登りとなる。BさんとNさんの後ろから歩いているとどうも山を歩いているような気がしない。 Bさんのいでたちががどうも縦走とは思えないのだ。街着に運動靴で、少し大きめのショルダーバッグという姿である。 とは言え、服の素材はきちんと考慮されており、またショルダーバックは必要最小限のものが実に効率的にコンパクトにパッキングされているのだ。まさしく、山の達人である。

【11:50】ブナの広場へ到着。
尾平越から30分弱で、ブナの大木で囲まれたブナ広場に到着する。大きなブナの枝に抱かれた雰囲気のいい広場である。 この広場の近くには水場があるので、テント泊するにはもってこいの場所である。
今日はここで昼食とする。数組のパーティーが昼食をとっている。ブナの根元に座りながらの昼食は心地よい。

ちょうど昼食が終わった頃、雨が本格的に降り始めた。さすがのBさんも傘を広げた。雨は激しくはないが、シトシトと降り続きそうだ。 カッパを着ても汗でビショビショであるが、一応、上着だけ着て出発する。Nさんは、そのままずぶ濡れ進行。Bさんは傘スタイルである。

ブナの大木の元で昼食をとる。

霧の中のブナ。暖かく包んでくれる。

本谷山へのダラダラとした登りの途中で休憩。
ブナ広場からは本谷山まではダラダラとしたひたすらの登りである。それぞれマイペースでバラバラに進む。昼食後ということもあるが、この登りはかなりきつい。 縦走二日目で、尾平越からこの本谷山への登りが一番きついハイライトである。
ブナの樹林からスズタケの道に変わり、雨の中、ブナ広場から1時間40分をひたすら登ると漸く本谷山に到着する。本谷山頂かスズタケに囲まれ、展望はほとんど得られない。少し休憩した後、水場へ向かう。
水場は山頂から5分ほど行った左手のスズタケの中にある。本日は笠松山周辺で天幕予定であり、ここからは水場がないので4Lの水筒を満杯にする。ほとんどが、焼酎のお湯割用である。

【14:23】本谷山頂にて。

スズタケの中の本谷山頂近くの水場

雨に煙るブナとアケボノの中を行く。
本谷山からはスズタケ、ブナ、アケボノツツジの中をダラダラと下っていく。私とBさんは九折越まで行って泊まりたかったが、Nさんが頑固にも笠松周辺を譲らないのでそれに従う。テントが張れそうな場所を探しながら進む。 途中で長崎のJさんの知り合いの方とすれ違った。聞くと、笠松の手前にテントが張れそうなスペースがあった言うので、そこを目指す。
雨は激しくはないがシトシトと降っている。トクビ展望台を過ぎ、しばらく行くと、縦走路の横にスズタケを切り分けたスペースがあったので、そこを本日の天幕場とする。 Nはツェルトを張り、私とBさんは私の三テンとした。テント設営後、早々に宴会に突入する。

トクビ展望台

【15:45】笠松手前の天幕場へ到着。

宴会に突入
雨は少し激しくなってきているが、テントを張ってしまえば、こちらのもんである。 明るいが早速宴会に突入である。なんと言ってもこの瞬間がたまらなく好きである。 私は明日は下山だし、Nさん、Bさんは大崩に向けてまだまだ縦走が続くが、明日の夜は杉ケ越で補給があるらしいので、残りのアルコール類を飲み干すことにする。
周りに誰もいないので静かである。今頃、九折小屋は満杯で大変なことになっているだろうとBさんと話をする。 21時頃、アルコールもなくなったので寝る。夜中は嵐になったようで、雨とスズタケのざわめきが大きかった。

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