莇ケ岳(あざみがたけ)と弟見山(おととみやま)。一度名前を見たら気になる山名である。莇ケ岳と弟見山は山口県と島根県の境の西中国山地に位置する 兄弟の山として有名であり、兄が弟見山で、莇ケ岳が弟にあたり別名「兄見山」とも言われる。お互いに見合っているところからついた名前であろうか。 莇ケ岳は石鎚修験の信仰の山でありその鎖場は有名である。莇ケ岳から弟見山へ続く縦走路は美しいブナの原生林が残る。 そんな魅惑的な兄弟の山に、五月の新緑とカタクリの頃に出かけてみた。 |
カタクリの莇ケ岳・弟見山を訪ねて(山口県) 〜 石鎚神社林道登山口−莇ケ岳−弟見山ピストン縦走 〜 |
【山行日】 | 2003年4月27日(日) 天気:晴れ | ||
【コース&タイム】 |
石鎚神社林道登山口(9:45)〜莇ケ岳(11:00-11:40)〜弟見山(13:30-14:20)〜莇ケ岳(15:40)〜石鎚神社登山口(16:40)
【行動時間】約7時間 |
||
【主なピーク】 | 莇ケ岳(1004m)、弟見山(1085m) | ||
【駐車場】 | 石鎚神社林道奥 | 【メンバー】 | T,H,K |
石鎚神社林道奥の駐車場 |
◆石鎚神社林道奥駐車場に到着 石鎚神社を過ぎ、左手の林道莇線を更に奥へ行くと、林道の舗装終了点に駐車場がある。車は十台程度は駐車可能であり、我々が到着した時には数台の車が既に来ていた。林道は更に続いているが、ここから歩いて入る。 |
更に林道の奥に向かう |
◆駐車場を出発! 駐車場の奥には、登山口の立派な標識がある。 準備をして早速出発する。 未舗装の林道を少し進み、沢を渡って更に進むと、左手の杉林の下に再び「登山口」の標識が現れる。 途中、登山道の脇に、白いイチリンソウが一本だけポツンと咲いていたのが印象的だった。 |
登山口の標識から植林帯へ入る |
二番目の登山口の標識からは、いきなりの杉林の急斜面を登る。 薄暗くて植林帯特有の雰囲気であるが、ところどころ木漏れ日が照らす新緑が美しい。 |
新緑の道が気持ちいい |
◆新緑とミツバツツジの尾根を行く 薄暗い植林帯の急斜面に喘ぐと、新緑がまぶしい明るい尾根道となる。 五月の新緑のやさしい色が美しく、まさしく新緑のトンネルである。 ウグイスの綺麗な鳴き声が明るい尾根道に響き渡る。 ミツバツツジのピンクが新緑の緑の中にひときわ目立ち美しい。 非常に心地いい登山道である。 |
莇ケ岳が顔を出す |
ミツバツツジのピンクが目立つ |
鎖場への分岐。右が鎖場。 |
◆鎖場への分岐 しばらく行き、斜面がきつくなってくると鎖場への分岐に出る。 右へ行くと莇ケ岳名物の鎖場で、左がそのまま山頂へ行く。どういう訳か我々はこの分岐を見落とし、道なりに左へ進んだようで、気がついた時にはあっという間に山頂に出てしまっていた。 山頂から南面を見下ろすと確かに下に見事な鎖場がある。莇ケ岳へ来たからにはこの鎖を登らないわけにはいかない。仕方がないので、鎖場の下まで一旦下り、再び登ることにした。 |
二の鎖 |
◆鎖場を登り返す 鎖場の下へ戻るために私はこの鎖を上から降りていったが、山頂直下は高度感があり足がすくむほどであった。 ここの鎖場は「二の鎖」と「三の鎖」の二段からなる。 二の鎖は取っ掛かり易いが、三の鎖はほとんど垂直に近く高度感いっぱいである。 結局、三人とも一旦鎖場下まで下り、再び鎖場を登り返した。 |
山頂直下鎖場。高度感が抜群! |
三の鎖 |
莇ケ岳山頂 |
◆莇ケ岳山頂にて 鎖場を登り、再び山頂へ戻った。山頂には石鎚神社奥の院の祠が奉られている。 昼食にしようかと迷っていると、ちょうど弟見山からの縦走者が来た。 聞いてみると、弟見山あたりはカタクリの花が開花しているらしい。 昨日は寂地山へ行ったが生憎の雨で開花したカタクリが見れなかったので、喜びいっぱいで先へ進むことにした。 |
▼ 莇ケ岳から弟見山への縦走 | |
気持ちいい縦走路 |
◆ブナ林が美しい縦走路を行く 莇ケ岳から弟見山へ向かう縦走路は雰囲気がよくてとても気持ちいい。 新緑の中、ウグイスの声を聞きながらルンルン気分で出発する。 縦走路の向こうに弟見山が見える。時折、木の幹にペンキなどで落書きされてあるのが非常に残念である。 気持ちいい縦走路にしばらくは足取りも軽かったが、途中から急に体がだるくなってきた。 Hも同じらしく、どうやらシャリバテのようだ。Kは相変わらず元気で、どこか昼食に適当な場所を探して待ってますと先へ行った。 ところが、登山道は途中からササが多くなり、昼食ができそうな適当な場所が見つからない。もう少し、もう少しと言いながら、どんどん進んでいくはめになった。 |
ブナの原生林が残る |
向こうに弟見山が見える |
弟見山が近づいてくる |
振り返ると莇ケ岳 |
ササで覆われた登山道。掻き分けて進む。 |
◆笹の登山道を行く そうこうしているうちに、登山道は笹で覆い尽くされるようになり、とても昼食どころではなくなる。結局、空腹をだましながら息絶え絶えに弟見山頂へ到着する。 弟見山頂が近くなると、笹の登山道の下に、ショウジョウバカマやカタクリの花が見られるようになる。天気がいいので、カタクリも元気一杯に花開いており、 誰かさんはコンパクトを出して、わざわざカタクリの花を覗き込んで喜んでいる。カタクリのおかげで、きつさが少し和らいだ。 |
笹の中の弟見山山頂 |
◆弟見山頂にて 弟見山の山頂は笹に囲まれこじんまりとしており、展望はあまりない。切り分けられた笹の広場で念願の昼食だ。とにかくビールが旨かった! ゆっくりと昼食をとった後、周囲のカタクリを見て回る。それぞれが、独特なスタイルで花開いている。よそい以上に個体数が多いのに驚いた。 下山は往路をそのまま戻る。天気にも恵まれ、カタクリと新緑とウグイスの鳴き声など春満喫の山旅であった。 |
▼ カタクリ三昧 | |
|
|
|