十方山は吉和冠山と恐羅漢山の間に位置する広島県の名峰の一つである。
その名前は以前から聞いていたが、今回、紅葉の十方山を歩くことができたので紹介したい。
沢沿いの自然林と紅葉を満喫した後、悠々たるブナの原生林。そして山頂付近は360度大展望の笹の台地が広がるバラエティー溢れる景観を堪能できた山であった。
紅葉とブナと展望の十方山を歩く(広島県)
〜 立岩貯水池から往復 〜
山行日 2005年11月13日(日)晴れ
コース&タイム 瀬戸の滝駐車場(8:56)→瀬戸の滝合流分岐(9:37)→5合目・三倉遭難碑下(10:25)→遭難碑(11:14)→十方山(11:24〜12:36)→5合目(13:19)→瀬戸の滝分岐(13:55)→登山口(14:14)
アプローチ 自宅(5:20)→小倉東IC(6:20)→吉和IC(8:20)→立岩貯水池・瀬戸の滝駐車場(8:40)
主なピーク十方山(1319m)
駐車場立岩貯水池 温泉クヴェーレ吉和(\800)

 瀬戸の滝登山口から五合目へ(紅葉の自然林を歩く)

立岩貯水池・瀬戸の滝駐車場
車10-20台駐車可能。立派なトイレがある。

吉和ICを降り、女鹿平温泉前を抜け山道へ入っていくと20分程度で立岩貯水池の瀬戸の滝駐車場到着する。 右手が駐車場となっており、駐車場の前の左手に登山口の標識がある。
綺麗なトイレがありその左手に瀬戸の滝への遊歩道があるが、夏の台風14号の被害でロープで通行止めとなっていた。
ちょうど紅葉シーズンなので、次々に登山者の車が来る。このあたりの山域は熊が心配であるが、登山者も多いのでちょっと安心する。

登山口の標識
駐車場の反対側に登山口の標識があり、登山道へ取り付くといきなりの登りが始まる。
樹林帯の中の心地よい登りであり、早くも赤や黄色に色づいた紅葉が目に飛び込んでくる。
しばらく行くと瀬戸の滝への分岐があるが台風14号の被害で通行止めのロープがある。 どうやら今回は瀬戸の滝には行かないほうが良さそうであり、ちょっと残念。
右手の登りに取り付く。

台風の被害で瀬戸の滝への道は通行止めだった。

赤と黄色の紅葉が見事!

気持ちよい広々とした自然林の中の登山道

落ち葉を踏みしめながら快適な歩き

色づいた紅葉を見ながらの自然林の中の登山道は本当に心地よい。 登山道はよく整備されており、幅も広々として歩きやすい。 落ち葉を踏みしめながら気分よく歩く。写真のために、かなり時間を費やす。
40分ほどで、左手から瀬戸の滝からの道と合流すると沢沿いの道となり、更にいい雰囲気となる。

「命の泉」の小滝付近の沢を渡る。

左手に沢を見ながら、快適な登山道が続く。 谷の斜面に沿い、紅葉を見ながらのんびりと歩く。
しばらくすると目の前になだらかな小滝が現れる。「命の泉の滝」らしく、女性的な滝だ。
沢を横切って進むと、回りの紅葉が更に素晴らしくなる。 緑の笹の上に黄色と赤の紅葉のコントラストが素晴らしく綺麗だ。 写真撮影でなかなか前に進まない。

登山道と紅葉(1)

登山道と紅葉(2)

緑の笹と黄色と赤の紅葉がきれい
 五合目から山頂へ(ブナの原生林を歩く)

落葉した自然林の登山道
標高900mを過ぎると紅葉も少なくなり、ブナの大木が見え始める。 落葉した自然林もまたいい雰囲気だ。
白い木々の幹と大きく手を広げたブナの大木のバランスがとてもいい雰囲気を醸し出している。 まさに十方山の山の深さを感じる。 思わず、両手をあげて万歳したくなるほどだ。

900mを過ぎると大きなブナが現れる。

木々の間から見える十方山の山容
なだらかでどこが山頂かわからない。
落葉した木々を見ながら行くと、五合目に出る。 五合目の手前あたりから、木々の間にこれから目指す十方山の山頂付近の山容が見えてくる。 なだらかな山容でどこが山頂であるのかよくわからない。
五合目の左手は小ピークであるがこのピークには三倉遭難碑がある。登山道は右斜面を横切って進む。

緑の笹とブナ林
五合目からは少し下って再び登り返すと、素晴らしいブナ林の登山道となる。
登山道も笹がきれいに刈られており広々として気持ちいい。 祖母傾稜線のブナ広場を思わせる雰囲気のいいブナ林だ。
登山道の横にそれは見事な枝振りのブナの大木があり、思わず見とれてしまった。

見事なブナの大木

ブナ林と登山道
 笹の台地・大展望の山頂を歩く

ブナ林を抜けると笹の原が広がる
ブナ林を抜けると突然目の前が開ける。今までの樹林帯がウソのように目の前に笹の台地が広がる。
ここからは山頂の台地への最後の急登である。登りながら、後ろを振り返ると、遠くに吉和冠山から寂地山の山並みがはっきりと見える。

山頂台地への最後の急登

振り返ると「吉和冠・寂地山」の山並が見える。

広々とした山頂の台地
台地へ上がりきると360度のさえぎるものがない大展望が広がる。 なだらかな笹の台地なのでどこが山頂なのかわかりにくいが、きちんと笹を刈ってくれてるので登山道は快適だ。
笹の台地はかなり広々として開放感たっぷりだ。こんな広々とした笹の台地の山頂は九州にはないような気がする。

360度の雄大な展望を見ながらゆったりと歩く

遭難碑を過ぎると山頂は近い
しばらく行くと遭難碑が現れる。 冬季積雪期はこの広々とした台地は非常に方向がわかりにくだろうと予想される。 積雪期にガスに巻かれたら確実に方向はわからなくなるであろうと考えながら、遭難碑に一礼し横を通り過ぎた。
遭難碑を過ぎると山頂は近い。草原の先に山頂の標識らしきものがポツンと見えてくる。

山頂はどこだあ!広いなあ。

漸く山頂標識が見えてくる。

広々とした十方山頂。雄大な展望を楽しむ。

いつの間にか山頂は登山者で溢れかえってきた。
山頂標識のある十方山頂は笹がきれいに刈られて広々としており、弁当を広げて展望を楽しむには最高だ。
雄大な展望を楽しみながら、早速、ビールで乾杯!
そうこうしているうちに、山頂はあっと言う間に登山者で一杯になった。
沢沿いの自然林の紅葉、荘厳なブナ林、そして大展望の笹の台地。 一度に三度楽しめる山であり、人気があるのもうなづける素晴らしい山であった。
下山は往路を戻る。

女鹿平温泉「クヴェーレ吉和」で汗を流す。
予想以上に素晴らしい山であり、四季を通じて楽しめる山であろう。 今度は是非、新緑のブナ林とササユリを見に来ようと心に決めた。 そして、いつか冬の十方にも来たいものである。

吉和ICへ帰る途中に女鹿平温泉「クヴェーレ吉和」に寄り、汗を流す。 ここにはニュージランドのカウリの木でできた湯船があり、樹齢1000年のカウリにもエネルギーをもらった。


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